【休日の数が6倍違う⁉】 拘束時間から見た研究室の選び方
6倍はいくら何でも盛り過ぎだろう。
このタイトルを見てそう思った人は多いのではないだろうか。
しかしこれは体験に基づくれっきとした事実なのだ。
そして実際には6倍どころではない差がつくこともある。
それについて、実例を挙げて具体的に紹介していこうと思う。
筆者は化学系の学科で学んでいたのだが、
有機合成を扱っている研究室では、多いところで月曜から土曜まで、朝10時には集合して夜まで研究を行うという研究室があるかと思えば、
逆に環境分析を扱っている研究室では、最初の半年は週に一度集まって、数時間の勉強会をして終わりという研究室もあった。
休日数で言えば6倍、拘束時間で言えば10倍以上の差が生まれている。
これだけの違いがあるにもかかわらず、どちらも同じ単位しか得られないというのだから不平等極まりない。
ではここからは、そういった研究室の拘束時間の差をどうやって見極めていくのかについて、大まかに3つの観点から考えていこうと思う。
1、説明会で情報収集
これは基本なのではないだろうか。
どの大学でも研究室選びの前には研究室ごとの説明会、見学会が開かれることが多い。
研究室選びで失敗したくないならまず間違いなく行くべきである。
良識のある教授であれば、事前に研究室の拘束時間が長いことについての説明が入ることもある。
仮に説明がなかったとしても、見学に行くことでその研究室に所属している人が誰かわかるため、どうしても気になる場合は後で教授ではなく所属している先輩に聞きに行くのも良いかもしれない。
なんにせよ、拘束時間だけでなく研究室の雰囲気も掴めるため、行って損をすることは無いといえる。
問題は所用があり、説明会や見学会に参加できなかった場合だ。
説明会は研究室ごとに開かれるため、行きたい研究室の説明会の時間が被ってしまうこともある。
そんな人達はぜひ、2、3の項目を見て拘束時間の差を見極めてほしい。
2、院生の数で見極めよう
院生とは、言わずもがな大学院生のことである。
結論から言うと、院生が多い = 研究に力を入れている研究室 = 研究の時間が長い と考えてもらって間違いないだろう。
院生には修士課程と博士課程があるが、その中でも博士課程の人間が多い研究室は研究の時間が長くとられていると思って間違いない。
学士、修士と違い、博士課程では、最終的にいくつかの論文を仕上げ、発表して認められなければ卒業することができない。
そのためには必然的に研究に力を入れている研究室に所属することになる。
研究室の違いは、研究内容の違いでしかない、と考えている人もいるかもしれない
しかし実際は、予算、人脈、設備、これまでの功績など、同じ大学の研究室でも信じられないほどに差が存在する。
予算や設備に余裕のない研究室では、多くの院生を抱える余裕もない所もある。
逆に言えば、多くの院生を抱えている研究室は、それだけ多くの予算、設備を持っており、研究に力を入れているということだ。
3、過去の授業時間から考察しよう
感覚として言えば、これが一番実感しやすいかもしれない
単純な話で、一つの実験にかかる時間が長いということは、それだけ研究の拘束時間が長いということだ。
研究というのは基本的にはトライ&エラーであり、同じような実験を条件を変えて何度も行うことも多い。
学生時代に行っているであろう実験の実習内容から、拘束時間を考えてみよう。
化学を例にすると、
分析化学の実習は比較的スムーズに進むことが多く、実験も授業時間の終了よりも早く終えることが多かった。
逆に有機化学の実習では、授業の時間が延長することもままあり、一つの実験を終えるのに工程をいくつかに分け、数回にわたって実習を行うこともあった。
このようにして、過去の経験から、実習の際の内容と、かかった時間とをそれぞれ比較し、研究にかかる時間を見極めよう。
まとめ
ここまで、大まかに3つに分けて研究室の拘束時間の見極め方について説明してきた。
しかし、拘束時間の長い研究室が悪いかと言えば、決してそうではない。
理系の大学を出た後、研究職に就く人間は多くない。まったく関係のない職種に就く人もいるだろう。
そういった人達にとっては、卒業研究というのは、研究というものに本格的にかかわる最後のチャンスでもある。
筆者は、どちらかといえば拘束時間の長い研究室に所属していたが、
そのおかげか、当時最先端ともいえる研究に一端として関わることが出来た。
これは、今でも人と話す際のネタになるような貴重な経験であり、当時は自由が少なく辛いと思ったこともあったが、今では、とても良い経験ができたと考えられるようになった。
社会に出る前の最後の時間として自由を謳歌するか
研究を行う最後のチャンスとして実験に力を注ぐか
どちらにせよ後悔の無い選択ができるよう、上述の内容が役に立つことを願っている。
Writing by 黒